池田屋事件は、銀魂から来た。
定期考査中の次女、本日の日本史の試験に
幕末が出たらしい。
長州征討とか、
薩長同盟とか、
寺田屋事件とか。
なかなか濃い並びだった。
問題は、
文章の中に紛れている
間違った名称を見つけて、正しく書き直すもの。
次女は、
「ここ、事件名が違う」
ところまでは分かった。
でも、
正しい名前が出てこない。
分かる。
そこまで来ているのに、
名前だけ出てこないことがある。
脳内では、
だいたい近くまで来ている。
でも、
最後の棚が開かない。
一旦、
その問題は飛ばしたらしい。
他の問題を解いた。
でも、
頭のすみでは、
まだ探していた。
幕末。
銀魂。
銀さん。
新選組。
池田屋。
そこだった。
教科書の棚からではなく、
漫画の棚から出てきた。
そこから、
池田屋事件に辿り着いたらしい。
帰ってきてから、
その話を聞いて、
少し笑った。
試験中の教室の片隅で、
万屋の銀さんが仕事をしてたらしい。
でも、
そういう記憶ってあると思う。
ちゃんと勉強したことだけが、
試験会場に行くわけじゃない。
漫画も、
アニメも、
会話も、
昔なんとなく見たものも、
どこかに残っている。
脳の本棚は、
たぶんあまり整っていない。
歴史の棚に、
歴史だけが並んでいるわけじゃない。
漫画の棚に、
日本史が混ざっていることもある。
でも、
必要なときに出てくるなら、
案外それで困らない。
池田屋事件は、
銀魂から来た。
たぶん、
脳内の司書は、
思っているより適当だ。



